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【手作業とデジタル化で比較】消防水利充足率の確認作業の違いとは?

  • 桜井株式会社
  • 6月23日
  • 読了時間: 4分
手作業とデジタル化で比較。消防水利充足率の確認作業の違いとは?

消防本部の担当者が頭を悩ませるのが、3年に1度実施されている調査報告に使用する紙図面への水利施設のマーキングや、メッシュ切りなどの“地味だが重要で膨大な”手作業。

多くの消防本部では、こうした作業に1~2週間程度の時間を費やしているという声をお聞きします。


今回の記事では、水利充足率判定における具体的な作業フローと課題を可視化し、デジタル化することでどのような効果が得られるのかをみてみたいと思います。

1.  消防水利のメッシュおよび充足率の必要性
メッシュ地図

消防水利のメッシュ化は、消火活動に必要な水利(消火栓・防火水槽など)の配置状況を空間的に把握するために重要です。


エリア単位での水利の有無や適正配置を可視化し、消防計画の見直しや水利の整備計画、効率的な資源配分の判断材料となり、地域の防災力強化に貢献します。



2. 住宅地図(紙地図)を利用して充足率を判定するまでの作業フロー
紙地図の充足率

今回ご紹介する作業フローは、これまで全国の消防本部様に足を運びヒアリングをしてきた情報を基にして作成した、手作業での一例となります。


【作業フロー】

作業時間:7日~14日程度

1. 定規などを使用して、用途地域エリア上に140m/170m/200mの各メッシュを地域の形状に合わせて書き込む

2. 消防水利施設(消火栓、防火水槽など)を1箇所ずつ記入

3. 各メッシュ内に有効水利が含まれているかを目視で確認し、充足メッシュ数と未充足メッシュ数を数える(不要メッシュは除外)

4. 未充足メッシュに対して、周囲の消防水利施設から任意半径の円を書き込み(コンパスなどを利用して)、防火対象物が包含判定されているかを目視で確認し、充足メッシュとするかの判断を行う

5. 用途地域別(市街地、準市街地、その他地域)に充足率を算出し、管轄エリア全体の充足率を求める

6. 最終的な報告書作成


【課題・悩み】

・目視で充足判定を集計するためヒューマンエラーが発生してしまう

・紙地図に直接書き込むため修正が煩雑になってしまう

・3年に1度実施されている調査報告ではあるが、膨大な時間と人手、かつ精度が必要



3 . ソフトウェア(デジタル化)を利用して充足率を判定するまでの作業フロー
ソフトウェアでの充足率

今回ご紹介する作業フローは、当社ソフト『スタファイル消防水利』を活用した場合の運用の一例となります。


【作業フロー】

作業時間:1日(30分~1時間程度)

----初回作業---------------------------

1.      指令台システムで管理されている消防水利施設情報(公共座標情報を含む)を出力し(EXCELやCSVファイルなど)、ソフトウエア側の専用インポート機能を用いて地図上へ専用シンボルデータとして自動取込

-----------------------------------------

2.      地図画面上の用途地域(市街地、準市街地、その他地域)に対し、専用メッシュ作成機能を用いて地図上に自動生成

3.      不要メッシュ(防火対象物が含まれないメッシュなど)を削除

4.      自動生成されたメッシュと消防水利施設シンボルを対象として、専用メッシュ判定機能を用いて自動充足判定

5.      充足判定結果に対して自動色分け機能を用いて瞬時に可視化

6.      未充足メッシュに対して、周囲の消防水利施設から任意半径円を手動または専用機能を用いて作成し、目視判定を行い充足メッシュとする場合は充足判定結果を修正する

7.      専用機能を用いて充足率一覧表を出力

8.      最終的な報告書作成


【導入した消防本部様の声】

・作成したメッシュ入り地図の色分けを瞬時に切り替えられる機能を利用することで、未充足メッシュが視覚的に見えやすくなり、作業効率があがった

・水利判定結果を書き直さずに修正できる点は非常に助かっている

・管轄エリアが大きいほどメッシュ切りや水利判定作業短縮の恩恵を受けられると思う


4. 数字でみるソフト導入後の効果

手作業

ソフト導入後

作業時間

平均7~14日間程度

1日程度(30分~1時間)

作業人数

2名

1名

効果

・ヒューマンエラーの発生

・修正作業の手間

・時間と人手、精度が必要

・ヒューマンエラーの削減

・修正はデータ変更のみ

・作業は自動反映される

導入することで集計の正確性が上がり、報告の迅速化も実現。

5. おわりに

いかがだったでしょうか。

消防水利充足判定ソフトの導入は、単なる作業効率化だけではありません。

「判断の裏付けとなる客観的なデータ」を瞬時に得ることで、現場の整備判断や行政の意思決定を強力に支える仕組みとなります。

限られた時間と人員の中でも、よりよい判断につなげる手助けとなっていくでしょう。



 
 
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